NYから愛をこめて-どたばた日記-
NY州の田舎町、自然豊かなIthacaで、夫婦で暮らしています。日常のちょっとしたことを思いつくままに書いています。
肌色
 韓国語で、色の名前を勉強している。それで、ふと考えさせられたのが「肌色」。韓国では、肌色という名前は、もはや正しくないということで、別のネーミングができたとか。

 確かに、肌色というネーミングは、純粋に日本出身の日本人をイメージした色である。だけど、国際化が進む中、「肌色」というと、私達が今まで思っていた色と必ずしも一致しない。もちろん、そんなことまで意識してあの色を呼んでいないということはわかるのだけど、違和感がある。

 他の違和感は、「ご主人」でも感じる。何で、夫のことを主たる人と表現しないといけないのか。それは日本にいた頃からの疑問。セールスの人が来て「ご主人いらっしゃいますか?」と聞いてきた時、私は必ず「私が主人です。」と答えていたので、ちょっとおかしな人だと思われていただろう。だって、世帯主は私だもの。

 誰も、主たる人だから、という理由で使ってはいないのだけど、私は日本語を教えてる時は必ず、「夫」と教えている。夫婦に、主も従もないのだから。

 ただ、相手に「あなたの夫はお元気ですか?」と聞くと、ちょっと語感に変な感じがする。「ご主人」に代わる、新たな日本語ができればいいなといつも感じる。
                                   Aki妻


語学音痴
 Akiは語学に関して全く才能がない。だけど、着々と英語は上達してきているようだ。先日、カナダ人家族と旅行した時も、延々と自分の研究について意気揚々と話していた。相手が興味を持っていたかどうかは置いておいて・・。

 「発音は相変わらずだけど、だいぶ英語は上達したよね」という、お世辞にしてもうれしいコメントをもらった。確かに、カナダ人が昨年ステイしていた時は、相手の言っていることを理解する時点でかなり躓き、自分の意見なんて、単語を並べるのが精一杯。「うー・・」とうなっていた。

 Akiの脳みそに語学を操るスペースがあったとは思えない。一体何を犠牲にしたのだろう。最近、その答えがわかった。

 それは、日本語。このところ、日本語で話しているのにさっぱり意思疎通がはかれなくてイライラすることが多い。もともと日本語も上手でなかったのに、話しかけると、それは日本語か英語か?を認識するところから入るらしい。

 私がフランス語でスペイン語の授業を受けている時は、確かに毎日4つの言語で話していたので、母国語以外に反応するのに時間がかかったこともある。だけど、まさか母国語も混同するとは。恐るべし、研究者の脳みそ・・。
                                           Aki妻
ポスドクの1日
 日本にいた頃は、私の方が先に家を出ていたので、Akiがどんな生活をしているか詳しくわからなかったけれど、今はオフィスと家が徒歩10分の距離なので、知りたくなくてもよくわかるようになった。

 朝起きてひとりごとを大きな声で話しながら、シャワーを浴びる。一日のスケジュールの確認をしているらしい。それから朝食。

 朝7時前後に家を出ている。前は9時過ぎだったけれど、実験装置が込み合う前に実験を始めたほうが合理的なことと、深夜にやると誰もいないのでうっかりミスを発見してもらいにくいため。

 日本にいた頃は、毎朝、携帯、財布、鍵のどれかを探すのに時間をとられ、更に3回に1回はおにぎりを忘れて怒られていたけれど、今は首にかける鍵さえあればオフィスに行けるので楽になった。Akiが携帯を持たなくなって、良かった。

 忘れ物をしたり、お腹が減れば帰って家を散らかしごはんを食べる。実験に集中している時はごはんなし。

 たまに用事があってオフィスに行くと、首をかしげながら歩いているAkiを発見する。とにかくいつも色んなところを歩いている。廊下にいる時間の方が長いのでは?と思うくらい。

 18時前後に帰宅。ごはんを食べてから、パソコンで論文を読んだり、プレゼンを準備したり、意味なく冷蔵庫を開けたり。

 日本では、この後飲み会とか、友達とごはんを食べに行ったりしたけれど、そんなことはここでは滅多にないので、研究に集中した毎日になっている。土日も、朝や夜にちょこっと学校に行って実験をする。

 いつも学生のような格好で気軽に学校に行くから、あまりAkiが働いている実感はなかったけど、もしかして私が日本にいた時よりもかなり長時間働いているのか?と最近思い始めた。
                                         Aki妻
 
ポスドク
 日本の新聞で「日本には博士課程まで出たのに、就職難民であるポスドクが〜人いる」という記事を読んだことがある。ポスドクは難民なんだーと漠然と思い、こりゃあAkiはポスドクになるよりも、企業に就職したほうがいいなと漠然と思っていた。

 しかし、気付いてみればAkiはポスドクになっていた。そして、ここでの私の印象としては、ポスドクは難民ではなく、契約社員に近い。次の職も決まっていないのに、いきなり首を切られるようなことは、よっぽどなへまをしない限りなさそう。

 そして、ボスにもよるけれど、結構自分が好きなように研究ができる。学生でもないけど、教授でもないので、人を指導しなければならないわけでもない。今はロータリーからのサポートを受けているが、これがなければ、私が朝から晩までずっと会社にいてやっともらえる給料よりずっと高い給料を(交渉次第で)もらえる。

 日本で、何で難民呼ばわりされるのか疑問だったのだが、やっぱり日本は年齢社会だからだと思う。正規雇用に若いうちにつかないと、という精神的圧迫は日本が一番きつい。だから、ポスドクを繰り返していると就職できない人ととらえてしまうのだろう。

 私は研究の事は全くわからないけど、教授をサポートしなくていい、学生でもないこの不安定な立場だからこそ自由にできる時間と、できる研究というものもあると思う。

 日本もどんどん高齢化が進んでいくわけだし、(尊敬は別として)年齢なんてそんなに気にしない社会になればいいと思う。
                                       Aki妻

 
生まれ変わったら研究者になろう
 Ithacaに来てから、研究者っていいなと強く思うようになってきた。何がいいって、人生にゆとりがある。

 私は16歳にして、理科と数学と絶交し、彼らと関わらない人生を歩んできた。文系一直線だったけれど、その道のりは決して楽ではない。文系だと、自分によほどのスキル、才能がないと、なかなか自由になれない。住む場所を選べない。時間に拘束される。

 たとえ能力があっても、自分を上手く表現できなかったりしたら、面接で落とされてしまう。

 本当に失礼な言い方だけど、研究者だとコミュニケーション能力に問題がある人でも、ある程度までは何とかなる。そして、研究をメインにやるのなら、そんなに「嫌いな仕事」に当たることもない。だって、自分が勉強してきた分野か、それに近いものなのだから。

 「学会」に行くとなると、大学や会社のお金で外国に行ける。ハワイとか、メキシコとか、ちょっと行ってみたいなという所に人のお金で行けてしまう。もちろん観光つき。

 大学で働くと、時間がフレックスである。今日は早く帰りたいなと思えば帰ればいい。文系事務のように、いちいち休暇簿を書いて上司に提出するなんてもともない。昼にごはんを食べに家に帰れる。もちろん土日出勤や残業しても何も出ないけど。

 やっぱりデスクワークのように、毎日8時半に出勤して、早くて6時、残業して10時に帰宅などという生活は疲れがたまってしまう。働くのに、気分や調子が乗らないときだってあるのに、それでも行かないといけないのはストレスがたまる。

 小さい頃、こどもに人気のある職業に「研究者」はなかったし、私の選択肢にも存在しなかったけれど、後になって良さがわかる職業だと思う。
                                       Aki妻


プロフィール

Author:Aki & Aki妻
Aki
生まれも育ちも北海道。
2008年の1月からニューヨーク州のイサカで研究業をしている。


Aki妻
2007年の7月からケベック州のモントリオールで大学生活を送る。2008年5月にイサカに引っ越す。



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